
体のことを考えて減塩味噌でお味噌汁を作ってみたものの、何だか物足りなくてついついたっぷり使ってしまった、なんて経験はありませんか?頭の中では分かっていても、どうしても塩気が少ない料理は味気なく感じてしまいがちですよね。そこで、お塩控えめでもおいしいと感じる「薄味」のコツを、料理家のコンドオミユキさんに教わりました。
※今回の特集で使っている「薄味」とは、「減塩された味」のことを指しています
おいしい薄味 INDEX

「おいしい薄味」に仕上げる秘訣は、塩味以外の旨み成分を活用すること。いつもの料理にだしやコクのある素材を加えることで、醤油や塩などを控えめにしても、満足感のある仕上がりになります。
だしの味をしっかり効かせると、塩分を控えても風味豊かな味わいに仕上がります。 手軽にとれていろんな料理に活用しやすい、「いりこ」と「かつお」のだしの取り方をご紹介します。

いりこは煮出してしまうと雑味が出やすいため、水出しでとります。濃厚な旨みがあるので、お味噌汁や煮物などにもぴったりですよ。
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「水出しいりこだし」の作り方
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水1リットルに対して、いりこ20gを入れ、冷蔵庫で一晩置く。
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「水出しいりこだし」の保存方法
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いりこは浸けたまま冷蔵庫で3〜4日ほど保存が可能です。使いきれなかった場合は、いりこを取り除いて冷凍庫で保存しましょう。空のペットボトルに八分目ほど入れるか、製氷器に入れて凍らせるのがおすすめです。
コンドオさんからのアドバイス
麦茶を入れておくようなピッチャーで作ると、そのまま冷蔵庫のドアポケットに入れられますし、注ぎやすいのでおすすめです。いりこならではの苦味が気になる時は、頭と腹わたをとっておくといいですよ。

香り高く上品な味わいのかつおだし。素材の味を活かしたお吸い物などシンプルな味付けの料理に向いています。キッチンペーパーや布で濾して使いましょう。
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「簡単かつおだし」の作り方
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かつおぶし30gに対し、お湯1リットルを注ぐ。
コンドオさんからのアドバイス
かつおぶしはうまみや香りが広がりやすいので、お湯をそそいでから10分もすればだしが完成します。普段の味噌汁もぜひかつおだしで作ってみてください。いつもとは違った豊かな味わいに仕上がりますよ。
料理の主役はもちろん、隠し味としても活躍してくれるのが、トマトやさつまいも、玉ねぎ、きのこ、貝類などのコクのある素材。素材そのものの旨みをしっかりひきだすことで、だしや調味料としての役割をカバーしてくれるので、必要以上に塩味を足さなくてもしっかりとした味わいに仕上がります。

トマトは生でも旨味が強く、さつまいもは加熱することで濃厚な甘みがでます。玉ねぎは、弱火でじっくり加熱することで辛味がなくなり、より甘味をひきだすことができます。
貝類は、旨みが強く出汁の代わりのような役割も果たしてくれます。日本酒や白ワインで酒蒸しにして旨味をしっかり引き出してから、スープやソースを作ると効果を存分に発揮してくれますよ。
\ きのこはまとめて冷凍保存が便利! /
コンドオさんがよく作って保存しているというのが、きのこミックス。きのこ類には、旨み成分であるグアニル酸が多く含まれており、料理に加えるだけでグッと深みのある味わいに仕上がります。数種類のきのこをちぎりチャックシール付き保存袋に入れて冷凍保存しておくだけなので、誰でも手軽に作ることができますよ。

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「旨みたっぷりきのこミックス」の作り方
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しめじ、まいたけ、エリンギ、しいたけ、マッシュルームなど数種類のきのこをひと口大に手でちぎり、合わせておいたものをチャックシール付き保存袋に入れて冷凍します。1カ月を目安に使い切ってください。
コンドオさんからのアドバイス
■ きのこは洗わない
きのこは洗うことで風味が落ちてしまったり、雑菌が繁殖しやすくなります。オガクズ等が付着している場合は、キッチンペーパーで軽くはたいてください。
■ きのこは金気を嫌います
包丁を使うと鉄分の匂いが移ってしまうので、出来る限り手でちぎりましょう。

きのこミックスは、数種類のきのこを一緒に入れるのがポイント。それぞれのきのこの旨み成分が複雑に混ざり合ってどんどんおいしくなるんです。また、冷凍することで細胞膜が破れ、調理するときに旨みも香りも出やすくなるという利点も。味噌汁やパスタ、スープなどの具材として必要な分だけを取り出して使ってくださいね。

薄味の物足りなさを解消するには、前回ご紹介した「だしや野菜類で旨みを足す」こと以外に、酸味や香り、コクなどの「風味」で味に変化をつける方法があります。ちょっとした「刺激」を足すことで、薄味でも満足感のある味わいになります。

酢やレモンなどの酸味は、食欲をそそるだけではなく、料理にさっぱりとしたコクをプラスしてくれる効果があります。また、塩味以外の味覚を加えることで、塩分を抑えていても満足感を得ることができます。揚げ物やソテーもレモンを絞ることでソースを使わなくて済みますし、酢の物など酢の効いた料理は塩を控えてもおいしく感じるのはそのためです。

香りの強い食材は料理の味を引き締め、薄味の物足りなさを補ってくれます。しそやみょうが、わさび、にんにく、ネギなどは薬味として、ハーブは風味付けに活躍してくれます。また、彩りを添えてくれるので、盛り付けの際に加えると、食欲もアップさせてくれますよ。

バターや黒砂糖などのコクのある食材は、料理を深みのある味に仕上げてくれます。淡白な味わいの魚料理やスープには、バターやごま油を仕上げに加えてみてください。煮物などの甘みづけには、甘酒や黒砂糖を使うと味に深みがでて、薄味の物足りなさを補ってくれます。

食材の味を引き出しながら、味のベースにもなる牛乳や酒類。味噌汁に牛乳を加えて味噌の分量を減らしたり、ワインや焼酎、日本酒を、煮物やソースに加えることで、塩を控えめにしても満足感のある仕上がりになります。肉じゃがは水を加えずにお酒だけで煮ると、味わい深くなりますよ。
\ コンドオさんのコメント /
①〜⑥のコツをいくつか掛け合わせることで料理の味が引き締まり、風味や深みが加わります。バターやごま油などは、料理の最後に加えることでコクが加わり、満足感を得ることができますよ。

いまいち料理の味が決まらない…という時には、醤油や塩に頼りっぱなしだった我が家の食卓。さっそくコンドオさんから教わったコツを取り入れて、家族の体調管理にもより気をつけていきたいと思います。まずは、いりこだしときのこミックスを常備するところから始めようかな。
( SATETO編集部 寺尾 )
教えてくれたのは

- 料理家 コンドオミユキ
- イートプランナーとして、レシピ制作や食品撮影スタイリング、器のコーディネート等を中心に活動。イラストレーター、美容家としての一面も持ち、「食」と「美」を中心とした「暮らしを楽しむ提案」を発信している。コープ組合員歴17年、「ただの炭酸水」がお気に入り。
乾物のうま味成分を使っておいしさアップのレシピ
干ししいたけや切干大根などの乾物は、うま味成分が凝縮。ストックしておけばいつでも料理に使えてとっても便利です。水で戻したり、そのまま料理に使ったりしながら、一段と深い味わいを楽しみましょう。
干ししいたけの麺つゆレシピ

うま味成分がギュッと詰まった干ししいたけを使って、麺つゆを作ります。おいしいだしを取るポイントは、干ししいたけを「冷水でゆっくりと戻すこと」。だしを取った後も、無駄なく一品作りましょう。
切干大根の戻し汁がだし代わり「切り干し大根のミルクスープ」レシピ

うま味も栄養もたっぷり詰まった切干大根を使って、味わい深いクリームスープを作ります。材料を切らずに入れて煮るだけの、少ない手順で作れるのも魅力。舞茸やしめじ、しいたけなどの風味豊かなキノコを使って、より奥行きのある味わいに仕上げます。
和食の定番!人気のお惣菜レシピ「五目きんぴら」は作り置きもOK

和食の定番でもある五目きんぴらは、切干大根の戻し汁をダシに使うことで、旨みが増してしっかりと味が染み込みます。たっぷりの大豆と芽ひじき、そして切干大根で食べ応えのある一品に。多めに作って常備菜にするのもおすすめです。
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