
冬になるとおいしくなる大根。特に水分を多く含み、みずみずしさが一段と増すこの時期にぜひ作って欲しいのが、あつあつの「ふろふき大根」。しっかりとだしが染みた大根に箸がスーッと入り、肉味噌との相性も抜群です。これから寒くなる季節に、キッチンでコトコトと大根を煮る時間もたまにはいいもの。和食の定番でもある一品で、心も体もほっこりしましょう。

▲教えてくれるのは、2児の母でもある料理家の宮崎知花さん。子育てと仕事を両立させる中で生み出す時短レシピは、忙しいママの強い味方。現在オンライン料理教室を開催中。

甘めの肉味噌たれが相性抜群
「基本のふろふき大根」

大根の下茹ではせずに、昆布と生米を入れた鍋でただただ煮込むだけ。煮ている間に、他の料理を作るのもよし、ひと仕事するもよし、子どもと遊ぶのもよし。じっくり煮込んだら、じゅわっととろけるふろふき大根のできあがりです。とろみたっぷりの濃いめの肉味噌をかければ、小料理屋さんのような逸品に仕上がります。
\ 調理のポイント /
大根は、柔らかくて辛みと甘みのバランスがちょうどいい、真ん中の部分を中心に使います。味が染み込んだ大根に仕上げるには、はじめにちょっとした手間が必要。でもそれさえおさえれば、後はコトコト煮ている間は時間を有効に使えますよ。ふろふき大根に合わせるのは、鶏ひき肉の肉味噌。作り方を覚えておけば、こんにゃくに塗って田楽にしたり、豆腐にかけたりと何かと便利です。


材料(4人分)
- 大根…1/2本(約12cm・約550g)
- だし昆布…5㎝
- 生米(大さじ1)を入れたお茶パック…1袋
- 鶏ひき肉…40g
- 酒…小さじ2
- (A)
- 味噌…30g
- 砂糖…40g
- みりん…大さじ1
- 酒…大さじ1
- 水…大さじ1
▼下準備
・お茶パックを用意し、生米を袋の半分くらい(大さじ1程度)入れておく
生米を一緒に煮るのはなぜ?そのままいれてもいい?

お茶パックに入れた生米を一緒に入れて煮ると、お米に含まれるでんぷん質によってアクや苦味が取れて大根が白く美しく仕上がります。お茶パックがない時は、生米をそのままいれて煮てもいいですが、大根が柔らかくなる頃にはお米粒が大根にくっついてしまいますので、盛り付ける前にさっと洗い流してくださいね。もちろん、お米の研ぎ汁を使ってもいいですよ。

作り方
1.大根を切る
大根を厚さ3cmほどの4等分に切り分けたら、皮を厚めに剥く。大根に十字の切り込みをして「隠し包丁」を入れ、大根の角を薄くそぎ取り「面取り」をする。


■「厚めに剥いて」柔らかく仕上げる
皮の内側は繊維質が多く、薄く皮を剥いてしまうと筋が残ってし
まいます。厚めに剥くことで、口当たり良く仕上がります。
■「厚めに剥いて」柔らかく仕上げる
皮の内側は繊維質が多く、薄く皮を剥いてしまうと筋が残ってしまいます。厚めに剥くことで、口当たり良く仕上がります。

■「隠し包丁」で味を染み込みやすくする
大根の1/4ほどの深さまで、包丁で十字に切り込みを入れること
で、火の通りを早くし、味を染み込みやすくします。
■「隠し包丁」で味を染み込みやすくする
大根の1/4ほどの深さまで、包丁で十字に切り込みを入れることで、火の通りを早くし、味を染み込みやすくします。

■「面取り」で煮崩れを防ぐ
切った角から火が通るため、そのまま煮てしまうと中心まで火が
通らないうちに煮崩れしてしまいます。事前に角を薄く削ぎ切り
しておきましょう。
■「面取り」で煮崩れを防ぐ
切った角から火が通るため、そのまま煮てしまうと中心まで火が通らないうちに煮崩れしてしまいます。事前に角を薄く削ぎ切りしておきましょう。
■「皮」や「面取りで削いだ大根」は捨てないで
厚く剥いた皮や削いで残った大根は、きんぴら大根やサラダにして、捨てずに活用しましょう。
2.大根を火にかける
大根がかぶるくらいの水(約800㏄)と、生米を入れたお茶パック、大根、だし昆布を入れて中火にかける。

3.コトコト煮込む
沸騰したら昆布を取り出し、弱火で1時間〜1時間半ほどコトコト煮込む。

■昆布は捨てないで!
昆布は盛り付けで使うので、捨てずにとっておいてください。

■30分ほどで外側が透明に
強火だと煮崩れするため、弱火でコトコト時間をかけて煮込みま
しょう。切った厚さにより煮込み時間が異なりますが、写真は煮
込んで30分後の様子。外側は透明になっていますがまだ芯は白
いので、あと30分ほど煮込んでいきます。
■30分ほどで外側が透明に
強火だと煮崩れするため、弱火でコトコト時間をかけて煮込みましょう。切った厚さにより煮込み時間が異なりますが、写真は煮込んで30分後の様子。外側は透明になっていますがまだ芯は白いので、あと30分ほど煮込んでいきます。
■常に大根が隠れるくらいの湯をキープ
煮ているうちに、段々と湯の量が減ってきます。常に大根よりも2~3センチ上に湯があるように、水を足しながら茹でましょう。

■竹串がすっと通ればOK
大根全体が透明になったら、竹串を刺してみてすっと通るほど柔らかくなっていれば完成です。写真は1時間半ほど煮込んだ状態。とろとろです。
■時間がない時は圧力鍋でも
時間がない時は圧力鍋などを使って時短しても。その時も上の写真のように、大根が透明になって竹串がすっと刺さるくらいを仕上がりの目安にしてください。
4.【肉味噌】大根を煮ている間に肉味噌を作る
鍋に鶏ひき肉、酒を入れ、よく混ぜ合わせる。中火にかけ、鶏ひき肉の色が変わり、ポロポロになるまで2分ほど炒める。

■鶏ひき肉をほぐした後に火にかける
先に火をかけると、お酒が馴染む前に鶏ひき肉に火が通ってしまいます。まず肉と酒をしっかりと混ぜ合わせた後に火をつけましょう。

■ひき肉の部位や種類によって味が変わる
味噌と砂糖の甘めの濃い味付けなので、さっぱりとした鶏ひき肉で作るのがオススメです。お店によっては、モモやムネのみのひき肉で売っていることもあります。その場合はモモひき肉20グラム、ムネひき肉20グラムの半々の配合で作りましょう。豚や合挽き肉で作ると、濃めの味付けに仕上がります。
5.【肉味噌】調味料を加える
(A)の味噌、砂糖、みりん、酒、水をすべて加える。

■味噌の種類を変えるとまた違う味わいに
今回は合わせ味噌を使いましたが、白味噌を使うと甘めの上品な味わいに。赤味噌を使うとコクのある濃いめの味わいに仕上がります。
6.【肉味噌】煮詰める
沸騰したら弱火~中火にして、全体を混ぜながら2分ほど加熱して煮詰める。


■煮詰め過ぎに注意
煮詰め過ぎると、冷めた時に固まってくるので注意を!鍋の中でヘラを動かし、鍋底が見えるくらいが目安です。
7.肉味噌をかける
茹でた大根をお皿に盛り、上から肉味噌をかける。

■だし昆布をひいて料亭風に
茹でる時に取り出しただし昆布をひいておけば、上品な盛り付けに

8.完成

大根に箸がスーッと入り、ほっこり柔らかなふろふき大根のできあがり。時間をかけた分、昆布のだしが染みて透明感があります。あつあつの大根の優しい味わいに、濃い味付けの肉味噌が絡み、お箸が進む一品。お好みで柚子やレモンの皮を乗せると、ほんのり香りが漂い、さらにおいしくいただけます。
このレシピで使えるコープ関連商品
「面取り」「隠し包丁」。これだけで、何だか“和食が上手に作れる人”な気分に。お皿に盛った時の美しさや、箸を入れた時の柔らかさが違うのは、このひと手間のお陰なんですね。それにしても久々にコトコトと煮る時間は、贅沢な時間を過ごしているようでした。たまにはこうやって時間を掛けて作るのもいいですね。
(SATETO編集部 佐藤)
教えてくれたのは

- 料理教室「スマイルスマイズ」主宰
宮崎知花 - 大手料理教室で13年間勤めた後、第2子出産をきっかけに自宅で料理教室を開始。料理とパンづくりを同時に学ぶことができる1回完結レッスンや、親子で一緒に料理が楽しめる親子レッスンなどを定期的に開催しています。
大根の皮でもう一品!活用レシピ
厚めに切った大根の皮や、削いだ大根は捨てないで!ササッと調理して、食卓の一品に変身させましょう。
大根の皮のきんぴら

厚めに切った大根の皮を使ったきんぴら大根。今回は、ほかの料理を作る時に出た人参の皮も使って一緒に炒めました。もちろん大根の皮だけでもOKです。
材料
- 大根・人参の皮…合わせて約100g
- ごま油…適量
- (A)
- 醤油…大さじ1
- 酒…大さじ1
- みりん(砂糖でも可)…大さじ1
作り方
①大根と人参の皮をそれぞれ千切りにする
②フライパンにごま油を引き、大根と人参の皮を炒める
③ごま油が全体に馴染んだら(A)を加え、大根と人参の皮を柔らかくなるまで炒める
④火を止め、フライパンに蓋をしてしばらく置き、味を馴染ませる
※お好みで赤唐辛子や白ごまを散らしても
大根の皮とひじきの酢の物

大根の皮が出たら、捨てずに試してほしいのが、ストック食材を組み合わせた、食感が楽しい酢の物です。ひじきや油揚げと聞けば煮物のイメージですが、酢の物にするとまた違ったおいしさが生まれます。
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