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健康診断の結果や体調をきっかけに、「塩分を控えた方がいいのかな」と感じたことはありませんか。ただ、塩分を控えた料理というと「味気なさそう」「物足りなさそう…」とイメージされる方も少なくありません。でも、大丈夫!ちょっとした工夫で、満足感のあるおいしい減塩料理ができるんです。今回は、無理なく続けられる減塩のコツや料理のアイデア、そしてその工夫をいかしたレシピを、管理栄養士の伊勢木紀三子さんに教えていただきます。
教えてくれるのは

管理栄養士
伊勢木 紀三子さん
料理研究家に師事後、生協の情報誌編集を経て独立。管理栄養士として病院での生活習慣病改善指導も行い、栄養バランスの良い家庭料理を提案している。
塩は、私たちの体にとって欠かせない栄養素のひとつ。でも、とりすぎてしまうと血圧が上がりやすくなり、心臓や血管に負担をかけてしまうこともあります。特に、医師から減塩をすすめられている方は、※1日6gを目安に塩分を控えることが推奨されています。高血圧といえば中高年のイメージがあるかもしれませんが、実は若い頃の食生活が将来の健康を大きく左右するとも。健康な毎日を送るために、今から少しずつ意識しておきたいものです。
塩分のとりすぎに気をつけたいと思っても、実は調味料だけでも、気づかないうちに多くの塩分をとってしまうことがあります。そこでコープでおなじみの調味料に含まれる塩分量を、大さじ1杯あたりでまとめてみました。毎日の食事づくりの参考にしてください。

意外にも、マヨネーズやケチャップは塩分量が少ないことがわかります。これらを上手に取り入れることで、減塩しながらも満足感のある食事を楽しむことができますよ。

しょうゆや味噌は和食に欠かせない基本の調味料。毎日使うからこそ、減塩タイプに切り替えるだけで塩分を大幅にカットできます。具体的にどれくらい減塩できるのか、コープ商品の比較でご紹介します。
最近では店頭に減塩マークのついた商品が多く並んでいます。まずは身近な調味料から、塩分を意識して選んでみましょう。生協が提供する健康志向のブランド「ヘルシーコープ」は、減塩はもちろん、栄養バランスや安全性にも配慮した健康サポート食品を豊富に取り揃えています。ぜひ活用してみてください。
知らず知らずのうちにとりすぎている「塩分」。実は日常的によく食べている食品の中にも “かくれ塩”が潜んでいます。

同じ食品でも、商品や調理方法の違いで塩分量に大きな差があることをご存じですか?ちょっと意識して選ぶだけで、無理なく塩分を減らすことができます。
スライスチーズは、保存のために塩分が多めに使われている「そのまま食べる
タイプ」より、加熱して「溶けるタイプ」のほうが控えめな傾向にあります。
ピザトーストなどに使うなら、溶けるタイプがおすすめです。
スライスチーズは、保存のために塩分が多めに使われている「そのまま食べるタイプ」より、加熱して「溶けるタイプ」のほうが控えめな傾向にあります。ピザトーストなどに使うなら、溶けるタイプがおすすめです。
みりん干しなどの調味干しは、みりんやしょうゆ、砂糖などの調味液
に漬け込んで作られるため、塩分が高くなる場合があります。
みりん干しなどの調味干しは、みりんやしょうゆ、砂糖などの調味液に漬け込んで作られるため、塩分が高くなる場合があります。
だしパックは素材のうま味を活かせるので減塩に役立ちますが、実は商品
によっては塩分が多く含まれていることもあります。選ぶときは表示を確
認しましょう。
だしパックは素材のうま味を活かせるので減塩に役立ちますが、実は商品によっては塩分が多く含まれていることもあります。選ぶときは表示を確認しましょう。
「塩分は控えたいけれど、おいしさも大事」。そんなときは、減塩に役立つアイデアを上手に取り入れて、満足感のある味わいにしましょう!
「だし」を効かせ、素材の旨みでカバー
昆布やしいたけ、かつお節などのだしの旨みが効いていると、モノ足りなさを感じません。

塩分ゼロの酸味を上手に使う
酸味は塩味を強く感じさせるため、塩が少なくてもおいしくなります。レモンなどの柑橘系や酢を上手に使いましょう。

塩分の低い調味料や油脂を使う
しょうゆの代わりにめんつゆやぽん酢を使うと、だしの旨みや酸味の効果でほどよい塩分に。マヨネーズやオイルもコクを出して満足度をアップさせます。

香りのよい香味野菜を使う
大葉、三つ葉、生姜、人参、ネギ、みょうが、セロリ、わさび、柚子など、香りのある野菜や調味料を使うと、それだけで満足度がアップ!

スパイスの辛みやナッツの食感をプラス
カレー粉、唐辛子、こしょうなどのスパイスは味にメリハリが出ます。また塩分不使用のナッツは食感や香ばしさをプラスしてくれます。

乳製品でコクをプラス
牛乳やヨーグルトなどの乳製品は料理にコクを出してくれるので、塩分控えめでも気になりません。実は和食より洋食のほうが減塩しやすいです。

とろみをつける・おろした野菜を使う
味が口に留まる時間が長いと、塩味を感じます。片栗粉をまぶしたり、おろした大根や玉ねぎをソースに使ったりするのがおすすめです。

焼き目を付けて香ばしさをプラス
焼き色が付いていると、香ばしさを感じて薄味が気になりません。見た目からも食欲がそそられます。

おかずの組み合わせにメリハリを
主菜が塩分控えめなら、副菜は少し塩分が効いたものにするなど、献立の中で味にメリハリをつけましょう。薄味のものから食べるのがおすすめです。

塩が必要かどうかを考える。足りなければ後足しを
必ずしも下味に塩が必要とは限りません。もし必要なら、出来上がりのものに塩を振りましょう。その方が少量で済みます。

ほかにも…
しょうゆは直接かけるよりも「つける」や「ふりかける」ほうが塩分量が抑えやすいです。量を調節しやすいスプレータイプのしょうゆもあるので、ぜひ活用してみましょう!
「今日からできる!減塩アイデア10」をいかせば、塩分が気になる料理も無理なく減塩できます。自分だけ別の料理を用意しなくても大丈夫。家族みんなで食べられる大満足の減塩レシピをご紹介します!

減塩でもコクうま!マヨネーズで作る
「えびマヨブロッコリー」

推定⾷塩相当量 / 1⼈分約1.0g
塩分が少ないマヨネーズは、減塩生活の強い味方!ケチャップと牛乳を合わせたまろやかなソースが、ぷりぷりのえびとブロッコリーに絡みます。冷凍ブロッコリーを使って、スピーディに作りましょう。
マヨネーズは塩分量が少なく、コクとパンチがあるため減塩料理におすすめです。マヨラーの多い現代人にはうれしい情報ですよね!塩分量が多いしょうゆ、味噌の量を減らしてマヨネーズと合わせれば、減塩効果が期待できます。ちなみにえび料理の定番 “海老チリ”は、豆板醤に注意が必要ですが(参考:小さじ1あたり塩分相当量0.9g)、ピリ辛味にしたいときは、唐辛子や一味唐辛子を使えば、塩分0になります。


香ばしさとさっぱりの絶妙コンビ
「おろしポン酢のチキンソテー」

推定⾷塩相当量 / 1⼈分約1.0g
鶏もも肉に焼き目を付けて香ばしく焼きましょう。かぼちゃ、アスパラ、しめじと一緒に焼き、最後にさっぱりとした大根おろしとポン酢をかければ、塩分控えめでも満足!
鶏肉は皮をパリッと色よく焼くことで、香ばしさとコクが増し、減塩につながります。焼く時は皮側から弱めの中火でじっくりと。何度も裏返しせず、皮側をしっかり焼いてから裏返すのがポイントです。下味は塩を使わずこしょうのみ。食べる直前にぽん酢しょうゆをかければ、普通のしょうゆを使うより-50%減塩に!鶏肉の表面にかけることで、少量でも塩味が感じられます。


やさしいコクとまろやかさが決め手!
「さばのミルク煮」

推定⾷塩相当量 / 1⼈分約0.7g
味噌と牛乳を加えることで、まろやかでやさしい味わいに。青魚特有の臭みも牛乳でクセがやわらぎ、食べやすくなります。
魚の煮物は塩分が高くなりがちですが、牛乳のコクとうま味で調味料を減らしつつ、満足感のある味に仕上げます。また不足しがちなカルシウムやたんぱく質の補いにも◎。今回は無塩のサバを使用しましたが、もともと魚や肉など、動物性の食材にはわずかに塩分が含まれているため下味は不要。気になる場合は、酒を振るなどの下処理をするとよいでしょう。


めんつゆで作る
「⼲しいたけ⼊り⾁じゃが」

推定⾷塩相当量 / 1⼈分約1.4g
干ししいたけの旨みと、めんつゆのだし感をいかした肉じゃが。めんつゆを使えば、塩分控え目ながらも簡単に満足感のある味に仕上がります。
減塩料理の難点は、塩分を控えめにすることで味気がなくなること。その補いには“うま味”が必要です。この料理は椎茸の「グアニル酸」、めんつゆに含まれるかつお節の「イノシン酸」、昆布の「グルタミン酸」といった、だしのうま味成分を活用しています。複数のうま味成分を組み合わせることで相乗効果が生まれ、薄味でもおいしく感じられます。

減塩ライフのちょっと気になる疑問に、管理栄養士の伊勢木さんがお答えします。

水分をたくさんとれば、
塩分は排出されますか?

水分を多くとると尿量は増えますが、それと共に塩分が排出されるわけではありません。一度に大量に飲むと血液量が増えて血圧が上がり、心臓に負担がかかることも。塩分も水分もバランス良くとりましょう。

水分を多くとると尿量は増えますが、それと共に塩分が排出されるわけではありません。一度に大量に飲むと血液量が増えて血圧が上がり、心臓に負担がかかることも。塩分も水分もバランス良くとりましょう。

汗をかく夏は、
塩分を摂取するようにいわれますが…。

炎天下で長時間活動する場合や激しい運動時は塩分補給が必要です。ですが、日常生活ではそれほど汗はかかないので大丈夫。高齢者の場合は、体調や血圧の変化を見ながら塩分を調整しましょう。

炎天下で長時間活動する場合や激しい運動時は塩分補給が必要です。ですが、日常生活ではそれほど汗はかかないので大丈夫。高齢者の場合は、体調や血圧の変化を見ながら塩分を調整しましょう。

めんつゆのラベルの塩分表示、
どう読むのが正解?

ラベルにある「100mlあたり◯g」は、水で薄める前のめんつゆ原液そのものの塩分量です。もし「2倍濃縮100mlあたり10g」なら、原液100mlに10gの塩分が入っています。例えば、そうめんのつけつゆを作るとき、大さじ1(15ml)の原液を使うと塩分は約1.5g。ここに大さじ1(15ml)の水を加えて薄めれば、塩分はそのまま1.5gですが、つゆ全体の塩分濃度は半分になります。

ラベルにある「100mlあたり◯g」は、水で薄める前のめんつゆ原液そのものの塩分量です。もし「2倍濃縮100mlあたり10g」なら、原液100mlに10gの塩分が入っています。例えば、そうめんのつけつゆを作るとき、大さじ1(15ml)の原液を使うと塩分は約1.5g。ここに大さじ1(15ml)の水を加えて薄めれば、塩分はそのまま1.5gですが、つゆ全体の塩分濃度は半分になります。
おいしい薄味のコツ
減塩でも満足できる献立のヒント
SATETOでは、これまでも「減塩でも満足できる献立のヒント」として、薄味でもおいしく仕上げるコツをご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください!

COOPの減塩商品で上手に減塩
CO・OPには、毎日の食卓に取り入れやすい減塩商品がそろっています。手軽に塩分を抑えつつおいしくいただけるので、忙しい日やお弁当のお供にも便利です。

(減塩タイプ)たっぷり野菜と海藻のおみそ汁
チンゲン菜などの野菜や、わかめなどの海藻が、お椀にたっぷり広がる減塩タイプのみそ汁。1食あたり約20g(生換算)の野菜(または海藻)がとれます。
> もっと詳しく

減塩即席みそ汁 いろいろ30食(生みそタイプ)
2種類の生みそ各15食と、5種類の具材(わかめ、ほうれん草、とうふ、油あげ、長ねぎ)各6食との組み合わせで、毎日いろいろなおみそ汁が楽しめます。
(※2023年4月作成。商品・包装などが変更している場合があります)
> もっと詳しく

味付のり(減塩たれ使用・板のり)
「CO・OP味付のり」より塩分30%カットした調味液を使用した味付けのり。国産海苔を原料に、薄口しょうゆにかつお節や昆布など、魚介の旨みをきかせています。
> もっと詳しく
これまで「減塩」というワードにあまりピンときていませんでしたが、身内が減塩生活をはじめることになり、今更ながら世の中には減塩商品がたくさんあることや、食品表示の大切さに改めて気づきました。あれもこれもダメでは、食事の楽しみが失われてしまいます。この記事が、同じような悩みを持つ方のヒントになりますように!
(SATETO編集部 佐藤)

- 管理栄養士・料理家
伊勢木 紀三子 - 料理研究家に師事し、生協の生活情報誌の編集の仕事を経て独立。生協のカタログでの栄養情報の執筆やNHKのテレビ出演、料理教室の講師、食品会社への料理レシピの開発など、様々な媒体で活躍するほか、管理栄養士として病院での生活習慣病の改善にむけての指導などもおこなっている。簡単にできる栄養たっぷりの家庭料理が得意。
減塩生活の味方!
旨みを引き出す
「しいたけ」「かつお昆布」だし
減塩を意識するなら、旨みのある出汁をしっかりと効かせましょう!旨みが加わることで、塩分を控えても満足感のある味わいになります。
自然の恵みと旨みが詰まった、
宮崎・高千穂の干ししいたけ。
上手な戻し方やそうめんつゆレシピも

しっかりと出汁の旨みを楽しみたいときにおすすめなのが、干ししいたけ。宮崎県高千穂町の「杉本商店」の干ししいたけは肉厚で旨みがぎゅっと詰まっていて、水でゆっくり戻すと深い味わいが広がります。めんつゆを作る際は、しょうゆを減塩タイプに変えると、さらに減塩効果が高まります。
基本の「かつお昆布だし(合わせだし汁)」の取り方、
作り方、保存方法

かつお節と昆布でイチから作るだしは驚くほどに香りがよく味もおいしい!上品な旨みと香り、キラキラ光る琥珀色が特長の一番だしの作り方、保存方法などをおしえていただきます。















