
日々の食事の配膳や盛り付け。深く考えず、当たり前のように行っていますが、実は、間違った知識のまま並べたり盛り付けたりしている方が意外と多いんです。和食の配膳はとても合理的で、ルールに沿って並べると料理を美しく見せるだけではなく、格段に食べやすくなるはず。今回は、和食の配膳の基本的な位置とその理由に加え、盛り付け方のコツもご紹介します。

▲ 教えてくれるのは、2児の母でもある料理家の宮崎知花さん。子育てと仕事を両立させる中で生み出す時短レシピは、忙しいママの強い味方。
基本的な和食の配膳について
和食の配膳を考えるのに重要なのは、“一汁三菜”を置く場所を把握しておくこと。ルールといわれると堅苦しく感じますが、食べやすさや見た目の美しさも考慮された、理にかなった並べ方なんです。
まずは知っておこう!「一汁三菜」とは?
「ご飯」と「汁物」、主菜、副菜、副々菜と呼ばれる3つの「菜(おかず)」の5つの料理で構成された和食の基本となる献立のこと。具体的なメニューとして、主菜はたんぱく質の多いもの、副菜と副々菜は野菜などミネラルを重視したものが多く採用されます。
和食の配膳の基本
[ 一汁三菜 ]
1. ごはん
2. 汁もの
3. 主菜(メインのおかず)
4. 副菜
5. 副々菜

1.ごはん 2.汁物
左手前にごはん、右手前に汁物を置くのが基本。おかずの品数が変わってもご飯と味噌汁の位置は変わりません。これは日本の食文化において左上位という考え方があり、特にごはんが重要とされるためだといわれています。また、日本人の多くは右利きなので、持つ回数の多いご飯を左側に、味噌汁を右側の位置に配膳します。こうすることで、茶碗を左手で持つ際に上げ下げしやすくなり、食べやすくなるからです。
3.主菜(メインのおかず) 4.副菜 5.副々菜
主菜は右奥、副菜は左奥、その下に副々菜を置きます。漬物や梅干しなどのお新香は、一汁三菜に含まれません。添える場合は、ごはんと汁物の間に配置します。
※お茶は飲みやすさを考慮し、右奥に置きます。
\ 宮崎さんからのアドバイス /
現代の食事なら、「一汁二菜」で考えても栄養バランス的には問題なし。一汁二菜の場合は、左奥に主菜(メインのおかず)、右奥に副菜を置きましょう。

[ 一汁二菜 ]
1. ごはん
2. 汁もの
3. 主菜(メインのおかず)
4. 副菜

和食の配膳を考える際は以下の点に注意しましょう。
麺料理の場合は麺を主食として扱う
ざるそばやうどんなどの麺は、主食なので左手前に配膳します。つけ汁がある場合は右手前に置きます。天ぷらそばの場合、左側にそば、右側奥に天ぷらといった配置になります。
魚は種類によって盛り付け方が異なる
◎ 丸ごと1尾の場合
頭を左側にし、腹の部分が手前を向くように盛り付けます。
◎ 切り身の場合

切り身の厚い方(頭側)を左側にするといわれています。反対側の切り身を置く場合は、身が表、皮目が裏になります。
◎ 干物、開きの場合
頭を左向きにします。皮目ではなく、身を表側に向けて盛り付けましょう。
おいしそうに見える盛り付け方
器に盛り付けるまでが、作り手の腕の見せどころ。赤や緑、黄色の彩りを添えたりと、ちょっとしたテクニックを取り入れるだけで、見違えるほどおいしそうに見せることができるんです。
◎ ごはんは茶碗に七分目程度
ごはんはお茶碗の7〜8分目程度を目安に。平たく盛り付けたり、茶碗からはみ出すように山盛りにしたりするのは美しくありません。
◎ お皿には3割以上の余白を残す
お皿に3〜6割の余白を残すと、料理が品よく見えるだけでなく、器との一体感が生まれます。また、余白があることで料理の取りやすさにもつながります。
◎ こんもり山高に盛る
小鉢や、浅い器に盛る場合は、中央に高さを出して立体的に盛り付けるとおいしそうに見えます。
毎日つくる料理の中で「もっとこうしたほうがおいしいかも!」と考えることはあっても、配膳や盛り付けについては考えたことがありませんでした。時間もお金もかけずに、ちょっとしたことを意識するだけでより美味しそうに見えるならば、これは実践しない手はありませんよね!ということで、我が家ではさっそく実践していますが、本当に見栄えが変わってびっくりです。特に、盛り付けの仕方。盛り付けを意識するようになり、おかずの器選びも楽しくなりましたよ。
(SATETO編集部 寺尾)
教えてくれたのは

- 料理教室「スマイルスマイズ」主宰
宮崎知花 - 大手料理教室で13年間勤めた後、第2子出産をきっかけに自宅で料理教室を開始。料理とパンづくりを同時に学ぶことができる1回完結レッスンや、親子で一緒に料理が楽しめる親子レッスンなどを定期的に開催しています。
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