マグロに続き、おにぎり、焼き鮭などでおなじみのサーモンも国内での養殖が進められています。もともと、サーモンの国内供給量は約40万t。天然と養殖の割合は半々ですが、天然のサーモンは淡水→海水と環境を変えるため漁獲量が不安定。一方、養殖のサーモンは、チリやノルウェーなどからの輸入が約92%を占めていて、国産の養殖鮭が少ないのが現状です。
そんな中で、日本海に面した鳥取県境港で育てられた「境港サーモン」が注目されています。なんでも、ユニークな養殖技術に今後の水産資源供給の大きなヒントが詰まっているのだとか。一体どんなサーモンなんでしょうか?
自然とテクノロジー、人が育てた境港サーモン
境港サーモンが育てられているのは、鳥取県の境港(さかいみなと)。弓ヶ浜半島の北端にあり、中海と日本海、そして境水道に囲まれた場所です。川と海が交わる場所は、淡水で生まれて海水で育つサーモンにはまさにぴったり!
△ 約1年間は淡水での養殖をおこない、その後6ヵ月の海面養殖を経て水揚げします。
(ヒミツ1)
栄養豊富な雪解け水で脂も身もふくよかに
卵から孵化したサーモンの稚魚は約1年間、淡水の中で育ちます。一番栄養を蓄えなければならないこの時期を雄大な大山から湧き出る伏流水の中で育ちます。ミネラルウォーターとして売り出されるほどの水質と安定した水温は、まさに理想のゆりかごですね。
成魚になったサーモンは、一転して流れが早い境港の潮流の中へ。このあたりは海水温が低めで成長に適した温度期間が長いので、成長スピードも早いそう。日本海の荒波の中で全身を使って泳ぐと身が引き締まり、マッチョボディに成長します。
△ 大山の森林の栄養をたっぷり含んだ美しい水が、境港サーモンのふるさとです。
△ 弓ヶ浜水産では美保湾の養殖場で、生け簀14基に銀ザケ約70万尾を養殖しています。
(ヒミツ2)
エサも水温も工場で一括管理
恵み豊かな自然環境だけではなく、ITで管理する最新技術にも注目を。漁場から水温や水中カメラのデータを管理し、餌のタイミングは魚の食欲に合わせて与えられているそうですよ。魚が疑似餌を引っ張った回数により食欲を測るセンサーを組み込むことで、適量で無駄のない給餌管理ができ、環境面でも汚染を抑えることができるのです。適度な餌ですくすくと成体まで育ったサーモンは、水揚げされてすぐに敷地内の工場で締められ、安全性と鮮度を保ったまま製品化されます。
△ 3日分の餌を蓄えることで、荒波で船を出せない日でも給餌できるようになり、スタッフの安全確保にも役立っています
△ 今回は水産商品部担当の松尾が現地へ。見て下さい!こんな立派なサーモンに育っています!
(ヒミツ3)
人の手でていねいに!こだわりの活〆
水揚げされたサーモンは、3℃以下の冷水で冷やされて鮮度をキープ。鱗落とし、内臓取り、三枚おろしなど、一尾一尾、人の手で丁寧に活〆していきます。血抜きや下処理をしっかりと施すことで鮮度劣化が遅くなり、柔らかい身をできるだけ長い期間保つことができるんですって。
活〆とは?
水揚げ直後、魚を仮死状態にして血抜きをするのが「活〆」です。一尾ずつ丁寧に処理するため手間がかかりますが、鮮度をそのまま保つことができるので味は段違い。活〆した身は程よい弾力があり、刺身でも生臭さが無く、魚本来の旨みが楽しめます。
水揚げ直後、魚を仮死状態にして血抜きをするのが「活〆」です。一尾ずつ丁寧に処理するため手間がかかりますが、鮮度をそのまま保つことができるので味は段違い。活〆した身は程よい弾力があり、刺身でも生臭さが無く、魚本来の旨みが楽しめます。
生でも食べられる養殖サーモン
通常、天然のサーモンはごくまれに寄生虫を持っていることがあり、生食することはできません。寄生虫が存在しない配合飼料を与えている養殖サーモンは、刺身もOK!また、一般的に、銀ザケは身が柔らかく刺身に向かないといわれておりますが、「境港サーモン」は身がしっかりしているため、歯ごたえが十分にあります。一年を通してしっかりと脂がのったとろけるような味わいが楽しめます。
養殖って地球にも優しい!?
2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」。これは、地球に住む私たち全員が取り組むべきさまざまな開発目標を掲げたものです。その中には、乱獲で減少し続ける「海洋資源を保全する」という項目があります。 実はこの目標を実現するのが、養殖魚の開発です。
食料不足による天然魚の獲りすぎをカバーして安定した海洋資源を供給できる養殖魚。消費者である私たちのちいさな選択が、開発目標の達成に協力しているんですね。
2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」。これは、地球に住む私たち全員が取り組むべきさまざまな開発目標を掲げたものです。その中には、乱獲で減少し続ける「海洋資源を保全する」という項目があります。 実はこの目標を実現するのが、養殖魚の開発です。
食料不足による天然魚の獲り過ぎをカバーして安定した海洋資源を供給できる養殖魚。消費者である私たちの小さな選択が、開発目標の達成に協力しているんですね。
一年を通して気軽に手に入るサーモンは、さまざまな料理に活躍してくれる海の万能選手。今回ご紹介した「境港サーモン」は、自然と最新技術、そして最後は人の手が加わることでこの豊かな味わいが生み出されたのかと思うと、ちょっと感激してしまいます。忙しい時は、そのままお刺身か、切身を焼き鮭にするだけで立派なおかずになるので、これからも長い付き合いになりそうです。
( SATETO編集部 大内 )
商品紹介
境港サーモン刺身用切り落とし
身が締まっていて 脂のり抜群!
境港サーモンをカットして切身にしました。自然解凍してそのままお皿に盛るだけ。ちらし寿司にもおすすめです。
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