「数の子」はおせち料理の定番の一つ。その正体はニシンの卵で、数がとても多いことから子孫繁栄の願いを込め、お正月に欠かせない縁起物とされてきました。市販の味付きの数の子を購入する方も多いと思いますが、自宅で作れば好みの塩梅で味付けにすることができます。
▲ 教えてくれたのは、料理家の松竹智子さん。 旬の野菜を中心に、日々の食卓に取り入れやすいレシピを提案されています。
だしの風味が引き立つ
数の子
数の子の調理で大切になるのが、塩抜きと薄皮の処理です。しっかりと下ごしらえをしておくことで調味料がよくしみ込み、プロが作るような本格的な味付けにすることができます。作業自体は簡単なので、ちょっとのひと手間と時間をかけて、コリコリの食感と程よい塩味の数の子に仕上げましょう。
\ 「数の子」を作る際のポイント /
塩抜き時間の「6時間」×2回はあくまでも目安です。塩味を抜きすぎてしまうと味気なく、塩味が強すぎると塩辛い数の子のなってしまうので、途中で数の子の端を少し食べて味見をして塩加減を確認してください。ほんのりと塩味がする程度が理想です。
「数の子」の材料
- 材料(2〜3人前)
- 数の子…200g
- かつお節…適量
- (A)
- だし汁 …150g
- 薄口醤油…大さじ2
- 酒…大さじ2
- みりん …大さじ1/2
- (塩抜き用)
- 水…1リットル
- 塩…小さじ1
\ 「出汁の取り方」はこちらをチェック /
「数の子」の作り方
1.「数の子」の塩抜きをする
ボウルに水1リットルと塩小さじ1を溶かし、数の子を入れ6時間浸ける。次に、水を替えて再び水1リットルと塩小さじ1を溶かし、数の子を入れさらに6時間浸ける。
■ 数の子の塩抜きは真水ではなく塩水で
塩漬けの数の子を塩水で塩抜きする理由は、浸透圧を利用して均等に塩分を抜くため。塩水は真水よりも浸透圧が高く、塩分がゆっくりと抜けて苦みも一緒に抜くことができます。
■ 水はたっぷり、目安はおよそ半日〜1日
できるだけ水はたっぷり用意してください。塩抜きをする時間の目安はだいたい半日から1日程度ですが、味を見ながら加減してください。
■ 途中で端をちぎって味見する
塩味が強すぎないか、逆に抜けすぎていないか、6時間経つ前に端を少しちぎって味見しましょう。少し塩味を感じるくらいがベストです。
2.数の子の薄い皮を取り除く
数の子の表面の薄い皮を指の腹で優しくこすりながら取り除く。指でつまめるようになれば引っ張って取り除く。
■ 食感よく仕上がるポイント
数の子の表面には薄く白い膜が張っていて、この皮が残っていると口当たりが悪くなる上に味がしみ込みにくなります。できるだけ丁寧にしっかり取り除きましょう。
■ 身が崩れやすいので注意
数の子の片方には「くし目」という等間隔に入った割れ目があり、この部分は身が崩れやすいので皮を取る際は気をつけましょう。
3.合わせ汁を作る
鍋にだし汁、薄口醤油、酒、みりんを合わせて沸騰させ、かつお節を軽くひとつまみ程度(指3本でつまめる量)加える。次に火を弱めて、2〜3分ほど煮出してから濾す。
■ 花かつおがおすすめ
かつお節を加えるのは、だしの風味を良くするため。かつお節は小さな破片削りのものよりもサイズの大きな花かつおがおすすめです。
4.数の子を漬け込む
合わせ汁が冷めるまで待ち、容器に数の子と合わせ汁を入れて漬ける。ラップかキッチンペーパーで表面を覆い、冷蔵庫に入れて1日ほど味をなじませる。
5.完成
食べやすいように1口サイズにカットし、かつお節を散らせば完成。
保存する場合はタッパーに移し替え、つけ汁ごと冷蔵庫に入れておく。日持ちは冷蔵保存で3〜4日。
このレシピで使えるコープ関連商品
おせちの数の子はお店で買うものと思っていたので、自分で作れると知って驚きました。塩味を調整できるので、家族好みの味付けにできるのも手作りならではの良さ。しかも市販のものより、お値段もグッと抑えられるというから嬉しい限りです。今年の年末年始は数の子を手作りして、家族から見直してもらいたいと思います。
(SATETO編集部 佐藤)
教えてくれたのは
- 松竹智子
- 料理家。福岡市内で料理教室や食のイベントをおこなう「深草」を主宰。フードスタイリストとして、食品関係企業のレシピ提案やスタイリングなども数多くおこなっています。
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