
良質な牛を育てる秘訣は
とにかく牛にストレスを与えないこと
私たちの食卓にのぼる牛肉は、どのような環境でどのように育てられているのでしょうか。生協で取り扱っている牛肉の生産者さんに、牛を育てている環境や肥育における取り組みを教えていただきました。第2回目は、鳥取県東伯郡の大山(だいせん)のふもと、大自然の恵みを受けながら大切に育てられる東伯牛の生産現場をお伝えします。
※おおいた、かごしま、ララコープでの取扱はしておりません
\ 答えてくれたのは /

株式会社 西日本ジェイエイ畜産
船本秀和さん・笠見孝裕さん




A. 大山のふもと、自然豊かな環境です。
鳥取県のほぼ中央に位置する東伯郡琴浦町に4つの農場があり、約2000頭の牛が飼育されています。大山のふもとにある自然豊かな土地で、県内でも畜産の盛んな地域です。自然環境の良さに加え、全ての牛舎に大型換気扇を設置して夏場の暑さをしのいだり、牛舎に敷いているオガ粉を定期的に交換したりと、一年をとおして牛舎を清潔にし、牛が健康に育つ環境を整えています。



A. 地元産の穀物を中心に、
月齢によって配合を変えながら与えています。
月齢によって3つの肥育ステージに分け、オリジナルの配合飼料を与えています。まず子牛が農場にやってきてから約3カ月間の〈肥育前期〉は、乾草や稲わらが中心。骨格や内臓を丈夫にして胃袋を正常に大きくします。〈中期〉はトウモロコシや大豆を混ぜた濃厚飼料を増量します。〈後期〉になると、さつまいもの粉末入り飼料を基本飼料に加えることで、東伯牛自慢の脂が完成します。稲わらの一部は鳥取県産を仕入れ、飲み水には大山山麓の地下水を利用しています。

▲ 後期に与える飼料、さつまいもの粉末が入った配合飼料「びーふあっぷ」により、東伯牛独特の甘みのある脂が完成します


A. とにかくストレスを与えないことです。
牛の体調の観察、朝夕決まった時間の餌やり、飲み水のチェックなどどれも欠かせませんが、寝床の管理は特に重要です。敷き詰めているオガ粉を定期的に入れ替えたり、暑さ寒さを防いであげたりと、牛にストレスがかからない飼育管理を365日おこなっています。また肥育期間を通常(12〜14ヶ月)よりも長く(約15ヶ月間)設け、じっくりと育てていくなかで重量のある牛に育ちます。

▲ 牛たちは、新しく敷いたオガ粉のほうに集まってくるそうです。清潔で気持ちのよい寝床を求めるあたりはまるで人間のよう…


A. 指で触っただけでスーッと溶ける、甘みのある脂が特徴です。
サッと炙った東伯牛を口に入れると、甘味のある脂がとろけます。この融点の低さが、東伯牛の脂の特長。牛肉の味は脂で決まると言いますが、このとろける脂こそが東伯牛の自慢そのものです。大山の麓にある大自然に囲まれて健康に育ち、良質の脂肪が適度にあるのでおいしいのだと思います。

▲ 指で触っただけでスーッと溶ける、東伯牛の自慢の脂


A. 脂は捨てずにぜひ味わって。
東伯牛の脂肪はあっさりしていてクドくありません。普段は野菜炒めや牛丼に、特別な日は焼き肉やすき焼きなどで、東伯牛のおいしさをたっぷりと堪能してください。脂肪のおいしさが伝わるはずです。
東伯牛の生産者さんの言葉を聞くと、おいしい牛肉への探求と、なによりも牛への愛情がたっぷり伝わってきます。寝床を常に清潔に整えてあげるなど、まるで人間のようでびっくりしました。長年組合員に愛されるこの味は、こうした絶え間ない努力のなかで生み出されているのですね。
( SATETO編集部 堀尾 )
- 牛肉のきほん INDEX
- 1.栄養は? 部位の違いは何? 牛肉の基本を知りましょう
- 2.牛肉の素朴な疑問から、選び方、おいしさを逃さない保存方法まで。牛肉のあれこれをご紹介します
- 3.牛を育てる生産者さんに聞く(1)福岡県「博多和牛」
- 4.牛を育てる生産者さんに聞く(2)鳥取県「東伯牛」←今回はここ
- 5.牛を育てる生産者さんに聞く(3)ニュージーランド「オーシャンビーフ」
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