私たちの食卓に欠かせない鶏肉。実は今、鶏に与える飼料用の穀物を栽培する専用農家が増えています。いったいなぜでしょう? 全国的にも有名な銘柄鶏「みつせ鶏」を事例に2回に分けてご紹介します。
- お買い物のちょっと前「みつせ鶏編」 INDEX
- [前半] 鶏が食べる餌を、わざわざ農家が育ててる?←今回はここ
- [後半] 地域を元気にするヒミツは鶏ふんにあり!?
みつせ鶏が食べているのはどんなエサ?
そもそも鶏は、毎日どんなものを食べて育っているのでしょう? 一般的には、とうもろこし、大麦、小麦、米、米ぬか、大豆、油かすなど、穀物類が飼料の大部分を占めていることが多いようです。なかには、発酵飼料などを独自に配合して与えている農家も少なくありません。 みつせ鶏も、生米ぬか、大麦、米など穀物中心のオリジナル飼料を食べて育っています。その中でも“米”が、今回のキーワード。実はこの米、主食用のものではなく、家畜用に栽培された「飼料用米」と呼ばれているものなのです。
△ 平飼いでのびのびと動き回ることができる環境で育っているみつせ鶏。栄養バランスを第一に考え、生米ぬか、大麦など穀物中心のオリジナル配合飼料を毎日食べながらすくすく育っています。
鶏のためにわざわざお米を育てている!?
ちょっと待てよ、家畜のためにわざわざ米を栽培するの? と思う方もいるかもしれません。今、鶏や豚の飼料用米を育てる畜産農家や米農家が、全国的にも増えてきているんです。 みつせ鶏を育てている株式会社ヨコオ(以下、ヨコオ)もそのひとつ。理由は、国産飼料の自給率の低さにあります。鶏や豚に与えている穀物飼料の自給率は、なんと1割程度。つまり残りの9割を、海外からの輸入に頼っているのです。輸入とはいえ、安定して手に入ればそんなに問題はないはずです。しかし海外の飼料価格が上がってしまったらどうでしょう。実際に、とうもろこしをはじめとする穀物飼料の価格は右肩上がりで、輸入に頼ってきた農家の経営を圧迫しています。
自分の足元は自ら固める
そこでヨコオが掲げたのは「自分の足元は自ら固める」こと。価格や量が不安定な海外産の飼料に依存するのではなく、国内産の飼料をできるだけ自分たちで育てようと、飼料用米の栽培に取り組みはじめました。飼料用米を育てるのは、地元の米農家。農家にとっても、取引先があることで安心して米を栽培できます。自分の足元だけではなく、隣の足元も固めてくれるという“循環”が、ここで生まれるというわけですね。
△ 鳥栖市内にある飼料用米の田んぼ。飼料用米とはいえ、人が食べるお米と同じように手間をかけて育てられています。使われなくなった水田が有効に活用できることもうれしいですね。
鶏肉を育てるためのエサを、わざわざ農家が育てているということにびっくりしましたが、それがむしろ畜産農家や米農家お互いにとって利点でもあることが見えてきました。次回は「みつせ鶏」だからこそ広がるさらに大きな“循環”について考えを巡らせてみます。
( SATETO編集部 堀尾 )
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