私たちにとって油はとても身近な存在ですよね。コープのカタログにもキャノーラ油、米油、オリーブオイル、ごま油と、いろんな種類の油が載っています。その一方で油について、実は知らないことも多いようです。例えば「サラダ油は低温でも結晶化しないように精製された油のこと」「植物油には、原料を圧搾してつくるものと、原料を溶剤で溶かして油を取り出したものがある」など、ご存じですか? 今回は油のパッケージに書かれた「一番搾り」のキーワードが気になってしまったさて子さん。さっそく「一番搾り純正菜種油」を搾油している「平田産業」さんを訪ねてみました。
さて子一家のとある夜の日
わーい、夜ご飯は唐揚げだ! 揚げ物大好き〜!
わーい、夜ご飯は唐揚げだ! 揚げ物大好き〜!
今日は一番搾りの菜種油を揚げ油に使ったのよ。
今日は一番搾りの菜種油を揚げ油に使ったのよ。
なんだかおいしそう!一番搾りってなに??
なんだかおいしそう!一番搾りってなに??
そう言われてみると、どんな油が一番搾りなのか知らないわ…。油の搾油工場にお邪魔して、教えてもらいましょ!
そう言われてみると、どんな油が一番搾りなのか知らないわ…。油の搾油工場にお邪魔して、教えてもらいましょ!
というわけで…
平田産業さんを訪ねてみました!
今回訪れた「平田産業」は福岡県朝倉市にある菜種油の製造会社です。甘木鉄道の甘木駅のすぐ近くにありますよ。
「平田産業」は1902年(明治35年)から続く、歴史ある企業。福岡県三井郡で初代の平田源太郎さんが菜種油をつくりはじめ、それからずっと搾油業を続けています。現在の甘木駅近くに移転したのは1943年(昭和18年)のこと。敷地内にはかつて活躍していたレンガのボイラー煙突も残っています。
また「平田産業」の菜種油はすべて、NON-GMO(遺伝子組み換え作物ではない)菜種のみを原料としています。みなさんの安全安心を第一に、創業以来続けていることです。
“一番搾り”の油は、こうして搾っていた!
「さて子さ〜ん! ようこそ!! こちらですよ〜!」と出迎えてくれたのは工場長の安達和秀さん。さっそく工場内で行われている工程を教えてくれました。
1. 分析室で菜種の状態をチェックします。
近赤外線分析装置を使い、菜種の水分量などを調べます。後工程でどのくらい水分を飛ばせばいいかなどの情報を得るためです。また分析室では、油を絞り終えた菜種のかすの状態を調べて、きちんと搾油できているかも調査しています。
2. 精選機にかけて、菜種だけを取り出します
オーストラリアから届くのは収穫されたままの菜種です。そのため菜種の茎や雑草など余分なものが混じっています。それらを精選機にかけて取り除き、菜種だけをきれいに選り分けます。
3. 菜種の水分を飛ばした後、香ばしく焙煎します
クッカーと呼ばれる機械で菜種を蒸して、水分量を減らします。その後、焙煎機にかけてバーナーであぶり、色と香りをつけていきます。
4. 菜種をつぶしてフレーク状にします
焙煎した菜種を圧扁機にかけてつぶしていきます。回転している鉄のローラー2台の間にすきまをつくり、そのすきまに菜種を通してフレーク状にします。菜種をつぶすと菜種の花のような黄色になるんですね!
5. フレーク状になった菜種から油を搾ります
フレーク状の菜種を圧搾機にかけていきます。低圧〜中圧〜高圧と徐々に圧力をかけながら、スクリュー羽根で搾油します。例えて言うなら“タオルをしぼる”ような搾油の仕方です。溶剤を使って搾りかすからさらに油を取り出す方法もありますが、「平田産業」さんの搾油はここまで。
[ 圧搾法で油をつくっています ]
植物油の抽出方法には「圧搾法」「抽出法」「圧抽法」があります。「圧搾法」は「平田産業」さんのように圧力のチカラだけで搾油する方法。「抽出法」は原料にノルマルヘキサンという溶剤を加えて油分を溶かし出す方法。「圧抽法」は「圧搾法」と「抽出法」をかけ合わせた方法です。菜種は油分が約40%含まれ、「圧搾法」に適した種物です。
6. 酢のチカラで不純物を分離させ、取り除きます(仕込み)
搾った油と酢をまぜて、油に混じっている不純物(リン脂質)を取り除きます。酢は一般的な食酢で、福岡県内の企業に独自の酢をつくってもらっています。この工程を「仕込み」といいます。
7. 油をお湯で洗い、さらに油をきれいにします(湯洗い)
さらにお湯で不純物(リン脂質など)を洗い流すと、昔ながらの油「赤水」の完成です。お湯を使うので、作業をされる方は熱さを感じる大変な工程です。ちなみにお湯は朝倉市のおいしい水を使用しているそうですよ。
[ “赤水” は昔ながらの油 ]
焙煎した菜種の香ばしさと美しい琥珀色を保ち、昔ながらの風味を残した油はその色合いから「赤水(あかみず)」と呼ばれ、香ばしく、カリッと揚げ物があがるのが特長です。戦前までは油といえば「赤水」で、もちろんすべて“一番搾り”の油でした。「平田産業さん」の工場はこの「赤水」のいい香りで満ちていました。
8. 「赤水」を天然の白土で脱色します
「赤水」からさらにひと手間かけ、白土という天然の成分で油中に含まれる色素成分を吸着除去して油を精製します。画像右の白いほうが白土、黒いほうが着色成分吸着後の白土です。
9. 完成した「一番搾り 菜種油」をパッケージに詰めます
油を充填するのはオートマチックな最新の工場の中です。徹底した管理体制のもとパッケージに油を詰め、最後は人の目でチェックをして、出荷します。
おお〜!工程ごとの油ですね。どんどんきれいになっていってる!
おお〜!工程ごとの油ですね。どんどんきれいになっていってる!
そうですね。昔ながらの製法だから、完成までに1週間ほどかかります。
そうですね。昔ながらの製法だから、完成までに1週間ほどかかります。
油をお酢やお湯で洗うのだから手間がかかりますよね。ところで一般的な油だと何日で完成するのですか?
油をお酢やお湯で洗うのだから手間がかかりますよね。ところで一般的な油だと何日で完成するのですか?
おおよそ1日かな…。
おおよそ1日かな…。
ええーっ、ずいぶん違うのね! そこまでして「平田産業」さんがこの製法にこだわるのはなぜですか?
ええーっ、ずいぶん違うのね! そこまでして「平田産業」さんがこの製法にこだわるのはなぜですか?
食べてくださる方の「安全・安心」を守りたいのが一番の理由です。そして昔ながらの油をつくることが「平田産業」の“強み”であり“個性”だと考えているからですよ。
食べてくださる方の「安全・安心」を守りたいのが一番の理由です。そして昔ながらの油をつくることが「平田産業」の“強み”であり“個性”だと考えているからですよ。
オーストラリアから菜種が届きました!
さてさて、さて子さん!実はさっき、オーストラリアからNON-GMOの菜種が届いたんですよ。コンテナから種を出すところを見学しませんか?
さてさて、さて子さん!実はさっき、オーストラリアからNON-GMOの菜種が届いたんですよ。コンテナから種を出すところを見学しませんか?
なんというグッドタイミング! なかなかお目にかかれない光景をありがとうございます!
なんというグッドタイミング! なかなかお目にかかれない光景をありがとうございます!
オーストラリアから届いたピンクのコンテナ! この中に20トンの菜種が入っています。
菜種は大きな段ボールに包まれていて、その一部に穴を空けてネットの下に落として行きます。1粒の菜種は1mmほどと極小ですが、すごい迫力です。ドババババーーーー!!!
ひゃ〜、びっくりした〜! とてもダイナミック!!
ひゃ〜、びっくりした〜! とてもダイナミック!!
みなさん驚かれます。コンテナは一度に15本くらいまとめて港に到着するんですよ。菜種は保存が効くので、2棟のサイロの空き容量に合わせて、コンテナを運んでもらっています。
みなさん驚かれます。コンテナは一度に15本くらいまとめて港に到着するんですよ。菜種は保存が効くので、2棟のサイロの空き容量に合わせて、コンテナを運んでもらっています。
この後、菜種はトラックの右奥に見えるサイロに保管されます。サイロ1棟に約300トンが入り、「平田産業」さんでは1カ月でサイロ2棟分(約600トン)の菜種が搾油されます。ちなみに新米ならぬ、新菜種が収穫されるのは毎年11〜12月。新しく採れた菜種が日本に到着するのは毎年2〜3月です。
[ 菜種のふるさとは“カンガルー島” ]
「平田産業」さんの菜種は、オーストラリアの農場から直輸入したNON-GMO菜種です。以前はカナダ産の菜種を使っていましたが、遺伝子組換えをされた菜種が増えてきたため、1999年にオーストラリア産菜種の搾油をスタートしました。
「一番搾り純正菜種油」のこと、
もっと聞いちゃおう!
Q. どうやって味わうのがおすすめ?
「平田産業」の「一番搾り純正菜種油」はマイルドでやさしい味。そのまま舐めても、イヤな風味が残ったり、胸焼けしたりがありません。ですから一度、加熱せず “ナマ”のまま味わってみるのはいかがでしょう? きっと油の質のよさを感じていただけると思います。たとえばドレッシングやマヨネーズをつくると絶品です。下記で紹介するレシピでぜひつくってみてください。またオリーブオイルの代用品としてお菓子作りに使われる方も多いですよ。
Q. 「一番搾り純正菜種油」で揚げ物をするとどうなるの?
カラッと軽く揚がります。そしてとにかく油が長持ちします。たとえば唐揚げをする時、2〜3回揚げると泡がぶくぶくと浮かんでくる油がありますよね。しかし「一番搾り純正菜種油」の場合は、まだまだ油がきれいなままです。社内でも日々品質テストを繰り返していて、フライドポテトが10回程度おいしく揚がる油が出荷基準です。溶剤を使用せずに搾油するので、油がへたれず丈夫なままなのでしょう。ちなみに野菜→魚・肉の順番で揚げると油が長もちします。
Q. 揚げ油は繰り返し使える?
「一番搾り純正菜種油」は耐熱性、保存性が高いので繰り返し使えます。油こし器でこした油をフタ付きの密閉容器に保存すれば、野菜炒めやチャーハンなどに、揚げ油の継ぎ足しに、おいしく活用できます。こした後に沈殿物があるようならば、保存容器には極力入れないようにしましょう。
Q. 油の品質をキープできる保存方法は?
油を劣化(酸化)させる3大要素は「光」「熱」「空気」です。直射日光が当たらず、高温多湿ではない場所を選び、しっかりフタを閉めて保管してください。冷蔵庫に入れるまではないですが、高温にならない扉がついた棚の中などが理想的です。
Q. パッケージに紙パックがあるのはなぜ?
「平田産業」では2001年から紙パックの商品を販売しています。当時はまだ珍しい存在でした。スチール缶をやめたのは、輸送に使うエネルギーが大きくなること、燃えないゴミを増やしてしまうことを避けるためです。ペットボトルの商品は、中身の色が見えたほうが安心できるお客様のために残しています。
Q. 油を搾ったあとの菜種はどうなるの?
搾油した後の搾りかすにも油分が含まれており、栄養たっぷりです。そのため高品質かつ添加物を含まない肥料として出荷しています。お茶の木との相性が大変よいため、福岡の八女や鹿児島の知覧などお茶産地の方に喜んでいただいています。ちなみに栄養分が高すぎて、家庭菜園では虫が出やすくなるとのこと。プロの農家さんにおすすめです。
「平田産業」さんに聞いた
油のおいしさがよ〜く分かるレシピ
1. 特製ドレッシング
「特製ドレッシング」の材料
- 菜種サラダ油 120ml
- しょうゆ 30ml
- 酢 70ml
- 玉ねぎ 20g
- みりん 小さじ1
- 砂糖 15g
- 塩 小さじ1
- 胡椒 少々
- にんにく 少々
「特製ドレッシング」の作り方
1. ミキサーに、油以外の全ての材料を入れ、10秒ほどミキシングします。
2. 次に油を入れ、10秒ほどミキシングします。これで出来上がりです。
※冷蔵庫に保管して早めにお使いください
2. 特製マヨネーズ
「特製マヨネーズ」の材料
- 卵黄…1個分
- 純正菜種油 1カップ
- 酢 大さじ1
- 酢(仕上用) 小さじ1
- レモン果汁 小さじ1
- 砂糖 小さじ1/2
- 塩. 小さじ1/2
- からし 小さじ1
- 胡椒 少々
「特製マヨネーズ」の作り方
1. 卵黄・塩・砂糖・からし・酢(大さじ1の分量から1,2滴)を加え、泡立て器等で白っぽくとろみが出るまで混ぜる。
2. 1にスプーン等を使って油を糸を引くように少し入れ、よく混ぜ乳化させる。
3. 乳化したら油と酢を2と同じように少量ずつ交互に入れては混ぜるをくり返す。
4. 最後に仕上げ用の酢とレモン果汁を沸騰させて入れ手早く混ぜる。
5. 胡椒で味を調える。
*冷蔵庫に保管して早めにお使いください。
*各工程をあせらずしっかり混ぜるのがコツです。
*ボールはガラス又は陶器を使いましょう。
油を作るのってすごく大変なんだね!
油を作るのってすごく大変なんだね!
ほんと、とても手間がかかっているのがよくわかったし、1滴1滴に愛情を込めて作られているのね。生でドレッシングやマヨネーズにしてもすごくおいしそう!早速サラダにつかってみよっと。揚げ物にも何度も使えるのなら経済的だしエコ。唐揚げに天ぷらにとんかつにアジフライに・・・いろいろ作りたくなってきちゃったわ。
ほんと、とても手間がかかっているのがよくわかったし、1滴1滴に愛情を込めて作られているのね。生でドレッシングやマヨネーズにしてもすごくおいしそう!早速サラダにつかってみよっと。揚げ物にも何度も使えるのなら経済的だしエコ。唐揚げに天ぷらにとんかつにアジフライに・・・いろいろ作りたくなってきちゃったわ。
今回ご紹介した商品
平田産業有限会社 一番搾り純正菜種油
オーストラリア産の非遺伝子組換えの菜種を圧力のみでしぼりました。持ちやすくて捨てやすい紙パック容器。
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