
顔の見える国産素材を使ったコープの「産地指定シリーズ」。その中で約40年に渡るロングセラーおやつをご存知でしょうか?
それが、大人も子どもも大好きなサツマイモをカラリと揚げて、砂糖をまぶした「芋けんぴ」。一度袋を開けると、ついつい何度でも手が伸びてしまうと評判ですが、長年に渡って愛される秘訣があるんですよ。今回は、そんなお茶のお供について探ってきました。ぜひ、芋けんぴをつまみながらご覧ください♪
\ 教えてくれたのは /
「九州の芋けんぴ」を製造されている
澁谷食品株式会社 森本智一さん
芋本来の風味が際立つ
黄金色のサツマイモ

「九州の芋けんぴ」のパッケージに記載されている原材料名を見てみると、「サツマイモ、砂糖、植物油脂、水あめ」のみ。シンプルな素材だからこそ、サツマイモが味のカギを握っています。
「九州の芋けんぴ」を製造されている澁谷食品株式会社の森本さんによると、原料となる芋の品種選びからかなりこだわったのだとか。
「実は、国内だけではなく、中国やオセアニア、トンガなど海外にも足を運んで芋けんぴ用のサツマイモを探したんです。でも、中々良いものが見つからなくて。最後にようやく出会ったのが、鹿児島で芋焼酎の原料として栽培されていた『黄金千貫(こがねせんかん)』なんですよ」
生産量の98%が鹿児島県と宮崎県という「黄金千貫」は、よくあるえんじ色の皮ではなく、ジャガイモのような白っぽい黄色の皮が特徴です。ほどよい糖度があり砂糖と絡めても甘くなりすぎず、芋の風味がしっかりと味わえます。
栽培契約先とともに
未来につなげる農業を

「九州の芋けんぴ」に使う「黄金千貫」は、鹿児島県と宮崎県内にある約20の契約栽培先から届きます。この契約栽培というシステムは、消費者にとって“作り手の顔が見える”安心感を与えてくれるものですが、生産者の方々にもメリットが大きいのだとか。
その背景には、「黄金千貫」を取り巻く厳しい現状がありました。栽培量の多くが焼酎の原材料に使われていたものの、他のサツマイモよりも価格が低い上に、焼酎ブームが下火になった影響で需要も落ち込んでしまったのです。栽培農家がどんどん減っていく中、芋けんぴの契約栽培先となることは安定した収益にもつながっています。
実際に契約栽培先の現場の声を聞いてみましょう。
鹿児島県鹿屋市で黄金千貫を栽培されている山下英伸さんは、芋けんぴの契約農家のおひとり。今回、次のようなメッセージをいただきました。

焼酎用に栽培していた時よりも収入の見通しができて、大変うれしく思っています。また、味はもちろんのこと色や形も厳密に問われるようになったことで、新たなやりがいも生まれました。将来は、私の跡を息子や甥が継ぐと言っていて、とても頼もしく思っています。私たちが心を込めて育てた黄金千貫のおいしさを、こだわりの芋けんぴでぜひ味わってください。
質の良いサツマイモを使う「九州の芋けんぴ」を生産することが、持続的な農業にもつながっているんですね。
掘りたての黄金千貫を
昔ながらの製法でお届け

生産者から送られる黄金千貫は、なんと掘った当日、もしくは翌日までには澁谷食品株式会社に集められます。
「サツマイモは収穫とともにデンプンの糖化が始まります。糖化が進んだイモは加工すると黒く変色してしまうため、使うのは前日までに掘ったものだけ。さらに、届いたその日に素揚げして保管します。揚げ油は、国産の米ぬかから生産したこめ油に、なたね油とパーム油をブレンドしているんですよ」
芋けんぴは商品として送り出すまでに3度も揚げられているそうですが、植物性油脂を使っているので、油っぽさはほとんど無く、カラリと風味よい食感が楽しめます。さらに、揚げた後に絡める糖蜜には、グラニュー糖にオリゴ糖を加えることでツヤを出しているんですって。こちらも甘すぎず、シンプルな味つけを心がけているそう。
手が止まらなくなる美味しさの秘密はさまざまな場所に隠されているんですね。

「芋けんぴはサツマイモを洗ってそのままカットして製造します。だからこそ、主役はサツマイモ。天候により毎年の作柄は変わるため常に同じ味を作り続けるというわけにはいかないのですが、その分“農作物”を食べている気持ちになれるのではないでしょうか。『今回の芋はいい出来だな』『今年は雨が多かったのかな』なんて、農家さんへ思いを馳せてもらえると嬉しいです」
そう語ってくれた森本さん。
一口かじるごとにお芋畑を感じる味わいが、長年に渡って多くの人に愛されるロングセラーの秘密なんですね。

【パッケージにも秘密アリ】

できたての美味しさを保つべく、光と酸素を通しにくいアルミ装着でパッケージング。袋詰めの時には不活性ガスを充填して油脂の劣化を防ぐなど、お芋の美味しさを届ける様々な工夫が施されています。
商品紹介

九州の芋けんぴ
黄金千貫芋の素朴な味わい
スティック状にカットした南九州産の黄金千貫芋を、
カラッと揚げて砂糖で味付けしました。昔から親しま
れている素朴な味わいのお菓子です。
黄金千貫芋の素朴な味わい
スティック状にカットした南九州産の黄金千貫芋を、カラッと揚げて砂糖で味付けしました。昔から親しまれている素朴な味わいのお菓子です。
一袋開けると、食べ終わるまで手が止まらない魔性のおやつ「芋けんぴ」。 シンプルな味わいで私も大好きなのですが、ここまでこだわって作られているとは驚きでした。特に、森本さんがおっしゃっていた「農作物だと思って食べて欲しい」という一言を聞くと、より一層お芋の味わいが増すような気がしますね。まさに目からウロコ、いや目から芋けんぴ!一年ごとの味わいを楽しみにしながら、休憩のお供に食べ続けていきたいと思います。
(SATETO編集部 大内)
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