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納豆研究所  納豆のいいとこQ&A編 納豆研究所  納豆のいいとこQ&A編

日本が誇る発酵食品「納豆」。あの独特の粘りと香りが大好きで、朝に夜に毎日おいしく食べている人も多いのではないでしょうか。「体にいい!」と言われる納豆ですが、一体どんないいことがあるのでしょう? 納豆の仕組みや納豆の疑問あれこれを、「コープ国産小粒納豆」を製造されている株式会社丸美屋さんに伺いました。

教えてくれた人 教えてくれた人

納豆は、稲わらと煮豆の劇的な出会いによりできたものと考えられ、納豆発祥の地は水戸等の関東地方と考えられています。 しかし、わたしたち丸美屋の工場がある熊本も、納豆の歴史がかなり古いといわれているんですよ。熊本の納豆伝説として、「1592年、加藤清正が朝鮮出兵の際に兵糧に困り、馬のエサであった煮豆を食べて空腹をしのいでいた。食べ残った煮豆を俵に入れて馬に乗せ行軍していると、その俵が香りを放つようになり、俵を開けると糸を引いている。食してみるととても美味しかったのでそこから作られるようになった」という説があります。稲わらに納豆菌が存在していて、馬の体温で煮豆が発酵したようですね。

大豆を水で洗って水に漬け、十分に吸水させてから高圧蒸煮します。炊き上がった煮豆に納豆菌を植えつけて、40℃ぐらいの温度で16~18時間程度発酵させ、さらに冷蔵庫にて熟成させて納豆ができあがります。 納豆は味噌や醤油と異なり、短時間で発酵します。納豆菌を噴霧しただけでは、納豆の粘りも匂いもないのですが、室(ムロ)といわれる温室管理できる部屋で温度を保つ事で発酵が進むようになっています。

納豆には主に次のような栄養分が含まれています
■たんぱく質・脂質・イソフラボン…大豆は「畑の肉」とよばれ、良質のたんぱく質・脂質、イソフラボン等の栄養素を豊富に含んでいます。
■ナットウキナーゼ…納豆が発酵する過程でできる、大豆にはない納豆独自の活性酵素で、さまざまな健康への効果が期待されています。
■ビタミンK2・B1・E…納豆菌等の微生物が産生するビタミンK2は、女性ホルモンによく似た物質で、カルシウムの吸収を助ける働きをします。他にも、ビタミンB1、ビタミンEなど、美や健康を保つ上で必要なビタミンを含んでいます。

発酵食品を作る細菌や菌は、酸を作って身を守るタイプや、アルコールを作るものなどさまざまですが、納豆菌はネバネバを作ることによって他の菌が入り込み難いように進化しています。また、発酵によってジピコリン酸という抗菌物質を作り、病原菌をやっつけてしまう力も持っています。そういった意味で、納豆菌は酸を作る菌には多少弱いのですが、熱や乾燥にも強い最強の微生物ではないかと思います。

納豆のあのネバネバとした糸の成分には、ポリグルタミン酸というアミノ酸の一種が豊富に含まれており、旨味成分を構成しています。よくかき混ぜる事によって糸を多く引くようになり、納豆がさらに美味しくなりますよ。

納豆菌は、非常に熱に強い事から耐熱性菌とも呼ばれています。しかし、大豆を納豆菌で発酵して作られる納豆の栄養素のうち、ナットウキナーゼなどの活性酵素については、熱に対してやや弱いので高温・長時間の料理にはあまりおすすめはできません。酵素以外の栄養素は加熱してもこわれませんので、「おいしさを求めたい」ということでしたら、加熱してお召し上がりいただいても構いません。

例えば、納豆汁を作る場合、みそ汁に納豆を加えて加熱しますと、納豆の糸がみそ汁に溶け出して独特の“とろみ”となります。ですので、加熱によってネバネバがなくなってしまう訳ではなく、ネバネバが溶け出した(分散した)状態になります。
また、熱を納豆表面に浴びせた場合には、ネバネバの中にたっぷり含まれている水分が蒸発・乾燥しますので、糸が切れてしまい糸引きが弱くなるということになります。

納豆菌には、大豆のたんぱく質を分解してアミノ酸に変えるはたらきがあり、納豆1g当たり約10億匹の納豆菌が生きています。また納豆独特のにおいも発酵によって作られます。冷蔵庫に保管しておかないと、納豆菌が再び活動を開始してアンモニア臭がしたり、納豆の色が赤黒く変色したり、糸引きが弱くなったり、表面にアミノ酸の結晶が生じてジャリジャリと砂を噛むような食感がしたり(※)で、おいしさが損なわれてしまいます。必ず冷蔵庫にて保管をお願いします。
(※):ジャリジャリの正体は、チロシンというアミノ酸が結晶化したものですので、食べても栄養はあって害はありませんが、食感が好ましくありません。

納豆菌と大豆が偶然出会い、誕生した納豆。あの小さい粒には、たくさんのパワーが秘められているのですね! 一粒一粒を大切に食べたいなとひしひしと感じました。 次回は、納豆菌への愛に溢れる芥川さんオススメの納豆アレンジをご紹介します。
( SATETO編集部 いはら )

納豆アレンジについて詳しく読む

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