お正月料理に欠かせないお雑煮。昨年のお雑煮アンケートでは、全国各地、地域や家庭によって、面白いくらい違いがあることがわかりました。さらに地域性が強いにも関わらず、数軒隣の家からは、全く異なるお雑煮が食べられているなんてことも!今回はそんな知れば知るほど面白い、お雑煮の沼にどっぷりとハマったお雑煮研究家の粕谷さんに、九州のお雑煮にスポットを当てて特徴を教えてもらいました。
教えてくれるのは…

お雑煮研究家 粕谷浩子さん
全国各地のバス停や銭湯でご婦人たちに声をかけては、家庭のお雑煮事情を
聞き出し情報収集。時にはお宅訪問してご馳走になりながら、気づけばお雑
煮マイスターとして専門誌まで出版するお雑煮マニアです。現在お雑煮を通
して食育にも力を入れ、各地域、市町村とタイアップしながらイベントなど
を開催。「株式会社お雑煮やさん」代表としてさまざまな活動を展開中。
お雑煮研究家 粕谷浩子さん
全国各地のバス停や銭湯でご婦人たちに声をかけては、家庭のお雑煮事情を聞き出し情報収集。時にはお宅訪問してご馳走になりながら、気づけばお雑煮マイスターとして専門誌まで出版するお雑煮マニアです。現在お雑煮を通して食育にも力を入れ、各地域、市町村とタイアップしながらイベントなどを開催。「株式会社お雑煮やさん」代表としてさまざまな活動を展開中。

粕谷さんからひとこと
小さな頃から当たり前のように食べてきたお雑煮は、家庭で代々受け継がれ
ている秘伝の味のようなものです。「あなたの家のお雑煮は?」と尋ねるだ
けで、きっと会話が弾みますよ!

粕谷さんからひとこと
小さな頃から当たり前のように食べてきたお雑煮は、家庭で代々受け継がれている秘伝の味のようなものです。「あなたの家のお雑煮は?」と尋ねるだけで、きっと会話が弾みますよ!


九州ではあごだしにブリやかつお菜を入れた博多雑煮が有名ですが、それ以外は、かしわ(鶏肉)や昆布のだし、甘い餡餅など、とにかく多彩!ちなみに主に東日本は角餅、九州は丸餅を入れることが多いのですが、鹿児島だけは角餅が使われています。九州各地をお雑煮行脚して出会った、ユニークで簡単に出来る2品をまずはご紹介します!

九州ではあごだしにブリやかつお菜を入れた博多雑煮が有名ですが、それ以外は、かしわ(鶏肉)や昆布のだし、甘い餡餅など、とにかく多彩!ちなみに主に東日本は角餅、九州は丸餅を入れることが多いのですが、鹿児島だけは角餅が使われています。九州各地をお雑煮行脚して出会った、ユニークで簡単に出来る2品をまずはご紹介します!




熊本県山鹿市鹿北町周辺で食べられている納豆雑煮。具を食べた後にお餅に絡めるのは、なんと砂糖を加えた納豆。納豆だけでも驚きですが、砂糖をドサッ!と加えて二度ビックリ!でも食べてみるとあら不思議、食後の和デザート感覚でペロリといただけます。ぜひご賞味あれ!


▼ 材料(3〜4人分)
- ・水…800ml
- ・昆布…10㎝×15㎝
- ・するめいか…1枚
- ・薄口しょうゆ…少々
- ・餅…お好みで3〜6個
- ・納豆…3パック(1人1パック)
- ・砂糖…納豆と同量
- [A]
- ・しいたけ(1/4にカット)…3枚
- ・にんじん(輪切り)…1/2本
- ・大根(輪切り)…1/4本
- ・ごぼう(輪切り)…1/2本
- ・里芋(輪切り)…3個
- ・かつお菜(食べやすくカット)…1枚
▼ 作り方
まずは、お雑煮を作る
鍋に水を入れ、するめいかと昆布を加えてだしを取る。するめいかと昆布も雑煮に加えるので、取り出したら拍子切りにする。薄口しょうゆで味を整えたら[A]を入れ、アクを取りながら具材に火が通るまで煮る。別の鍋で柔らかく茹でたお餅を加える。


\ 粕谷さんに教わったポイント /
■ お餅は残しておく
後でお餅に納豆を絡めるので、先に具を食べるべし!


STEP. 1
納豆と同量の砂糖、付属のタレを加えて混ぜ合わせる


\ 粕谷さんに教わったポイント /
■ 納豆×砂糖は相性◎
納豆に砂糖を加えると、いつもより粘り気が強くなり食感もアップ!納豆特有の臭みも和らぎ、納豆が苦手な人も食べやすくなります。
STEP. 2
お餅に絡めていただきましょう!




佐賀市鍋島町や兵庫町で食べられているのが、ぜんざいタイプのお雑煮。甘く煮た小豆とささがきごぼうの組み合わせです。この地域の人々にとって、「ぜんざい=お雑煮」。普段食べているぜんざいを、お正月にお雑煮としていただくのは何とも不思議。市販のゆであずき缶を使えば、あっという間にできますよ。


▼ 材料(3人分)
- ・あずき缶…1缶
- ・水…あずき缶と同量
- ・ごぼう…1/3本
- ・餅…お好みで3〜6個
▼ 作り方
材料を入れて火に掛ける
ごぼうをささがきにする。鍋にお餅以外の材料を入れ、ささがきごぼうが柔らかくなるまで火に掛ける。




別の鍋で柔らかく茹でたお餅を加えて完成!ささがきごぼうがアクセントになり、最後まで美味しくいただけます。



まだまだある、九州の珍しいお雑煮。機会があればぜひ召し上がってみてください!

福岡県朝倉市に伝わるのが、全国的にも珍しい茶碗蒸しの中にお餅が入ったお雑煮。蒸されたお餅のモッチリとした食感が楽しめます。秋月黒田藩では長崎警護の役目を担っていたため、中国から伝来した卓袱(しっぽく)料理のひとつ茶碗蒸しをいち早く知ったこと。当時、飢饉対策で養鶏が推奨されていて、お武家さんの住んでいた秋月、甘木、三奈木などの地域でのみ養鶏が盛んだったことからこのタイプが広がったとか。貴重なたまごを使ったお雑煮は、特別なごちそうだったに違いありません。



長崎県島原市周辺で食べられているのが、土鍋タイプの具雑煮。13種類の具材が入っていて、とにかく具沢山!これはもはやお鍋の感覚です。欠かせないのが、かまぼこと切昆布で、特に切昆布がお餅に絡まって一段とおいしい!島原の乱が発祥のお雑煮と言われていて、地元では、定食屋さんなどでも日常的に食べることができます。


大分市内や竹田市などで食べられているのが、味噌ベースのお雑煮。具材は4品前後と、あまり入っていないのが特徴です。大分名産のしいたけは必須!麦味噌ベースのお味噌汁の中にお餅が入った、ホッと落ち着く味です。


宮崎市周辺で食べられているのが、オアカムロのお雑煮。アジ科に属す生魚のオアカムロをいぼかし(焼く)て、炒ってだしを取ります。漁獲量の不安定さからあまり流通していないマイナーな魚ですが、深い旨味が特徴。具材は焼き豆腐、切昆布、さといも等。青菜には水菜を使います。


鹿児島県垂水市周辺で食べられているのが、焼き海老雑煮。香ばしい焼き海老のだしに醤油を加え、白菜、焼き豆腐、豆もやしなどが入っています。島津家の殿様が、江戸の文化を持ち帰ったことから九州では珍しく、焼いた切り餅が使われます。焼き海老のおだしが使われるのは鹿児島だけの食文化。お正月らしい贅沢な一品です。


沖縄にはお雑煮を食べる習慣がありません。代わりに食べられているのが、豚の内臓(モツ)を長時間煮込み、かつおだしで作った中味汁。あっさりしつつもコク深い味わいです。ちなみにおせち料理も存在しないため、沖縄ならではの豚肉を使ったご馳走が詰まったお重料理が振る舞われるそう!


まだまだある、九州の珍しいお雑煮。機会があればぜひ召し上がってみてください!

福岡県朝倉市に伝わるのが、全国的にも珍しい茶碗蒸しの中にお餅が入ったお雑煮。蒸されたお餅のモッチリとした食感が楽しめます。秋月黒田藩では長崎警護の役目を担っていたため、中国から伝来した卓袱(しっぽく)料理のひとつ茶碗蒸しをいち早く知ったこと。当時、飢饉対策で養鶏が推奨されていて、お武家さんの住んでいた秋月、甘木、三奈木などの地域でのみ養鶏が盛んだったことからこのタイプが広がったとか。貴重なたまごを使ったお雑煮は、特別なごちそうだったに違いありません。



長崎県島原市周辺で食べられているのが、土鍋タイプの具雑煮。13種類の具材が入っていて、とにかく具沢山!これはもはやお鍋の感覚です。欠かせないのが、かまぼこと切昆布で、特に切昆布がお餅に絡まって一段とおいしい!島原の乱が発祥のお雑煮と言われていて、地元では、定食屋さんなどでも日常的に食べることができます。


大分市内や竹田市などで食べられているのが、味噌ベースのお雑煮。具材は3~4品くらいと、あまり入っていないのが特徴です。大分名産のしいたけは必須!麦味噌ベースのお味噌汁の中にお餅が入った、ホッと落ち着く味です。


宮崎市周辺で食べられているのが、オアカムロのお雑煮。アジ科に属す生魚のオアカムロをいぼかし(焼く)て、炒ってだしを取ります。漁獲量の不安定さからあまり流通していないマイナーな魚ですが、深い旨味が特徴。具材は焼き豆腐、切昆布、さといも等。青菜には水菜を使います。


鹿児島県垂水市周辺で食べられているのが、焼き海老雑煮。香ばしい焼き海老のだしに醤油を加え、白菜、焼き豆腐、豆もやしなどが入っています。島津家の殿様が、江戸の文化を持ち帰ったことから九州では珍しく、焼いた切り餅が使われます。焼き海老のおだしが使われるのは鹿児島だけの食文化。お正月らしい贅沢な一品です。


沖縄にはお雑煮を食べる習慣がありません。代わりに食べられているのが、豚の内臓(モツ)を長時間煮込み、かつおだしで作った中味汁。あっさりしつつもコク深い味わいです。ちなみにおせち料理も存在しないため、沖縄ならではの豚肉を使ったご馳走が詰まったお重料理が振る舞われるそう!

「もういくつ寝ると~お正月♪」と、思わず口ずさんでしまいそうですが、お雑煮は日本人にとって欠かせないソウルフード。地域でこんなに違いがあるとは驚きです。しかもこれが当然!と思っているところが面白い。ちなみに初めて夫の実家でお雑煮を食べた時、納豆を入れたのにビックリ。だけど今回ご紹介した納豆雑煮は砂糖入りだなんて!今年のお正月も、全国各地でこんな驚きが待っているかもしれません!
(SATETO編集部 佐藤)