薄切りの豚ロースやバラ肉をサッと湯に通していただく冷しゃぶ。ゆでるだけの簡単な工程のはずなのに、なぜかお肉が硬くなったり水っぽくなったりしませんか?「しっとりやわらかく仕上げるには、いくつかコツがあるんです」と話すのは、料理家のコンドオミユキさん。今回は豚肉をしっとりゆでる方法を教えていただきました。
教えてくれたのは…
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料理家 コンドオミユキさん
野菜をたっぷりと使った料理がお得意
なコンドオミユキさん。提案してくれ
るレシピは、手間を上手に省きながら
もおいしく仕上がるコツが満載です。
料理家 コンドオミユキさん
野菜をたっぷりと使った料理がお得意なコンドオミユキさん。提案してくれるレシピは、手間を上手に省きながらもおいしく仕上がるコツが満載です。
冷しゃぶの4つのコツと、やわらか冷しゃぶを使ったサラダを動画でご紹介。豚の旨味たっぷりの茹で汁でスープも作ります。
冷しゃぶは食感が命。やわらかく仕上げるには、「常温のお肉を使う」「お湯に砂糖を加える」「火を止めた状態のお湯に一枚ずつくぐらせる」「そのまま冷やす」など、いくつかポイントがあります。お肉の旨みを最大限に引き出して、おいしくいただきましょう。
薄切り豚肉を上手にゆでるコツは4つ。これさえ押さえればしっとりやわらかに仕上がります。ゆで汁は捨てずに、スープや煮汁に活用しましょう
急激な温度変化は、お肉が硬くなる一番の原因!使う前に常温に戻しておきます。
■ 温度変化をできるだけ小さく
冷蔵庫から取り出してすぐの豚肉を熱湯でゆでると、急激な温度変化により豚肉の水分とうま味が抜け、タンパク質がギュッと縮み硬くなる原因になります。温度変化を小さくするのが一番のポイントです。
■ 夏場は置きすぎないよう気をつける
ただ暑い時期は、常温のまま長時間置いておくと菌が繁殖して危険です。放置しすぎないよう注意しましょう。
砂糖はタンパク質が硬くなるのを防ぎ、水分を保持する性質があります。ゆでる前にお湯に砂糖を加えておくことで、やわらかくしっとりと仕上がります。
■ 沸騰したら砂糖を加えるだけ
ゆでるときは、4カップほどの水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら一度火を止め、砂糖大さじ1を加えます。少量なので味はそんなに気になりませんよ。
■ 唐揚げや豚カツなどにも応用可能!
豚しゃぶに限らずいろいろな肉料理に応用できる技です。唐揚げや豚カツなどお肉を加熱する際には、ぜひ下味に砂糖を少量加えてみてくださいね。
沸騰した熱湯でゆでると、1と同様に急激な温度変化で硬くなる原因に。沸騰したら一旦火を止め、豚肉の表面を洗うように1枚ずつ湯にくぐらせ、色が変わったらザルに上げます。
しっとりやわらかく茹でる方法
冷しゃぶをしっとりやわらかくするには、茹で方がカギ。ほんのひと手間で、お肉がふっくらジューシーに仕上がります。
■ 一枚ずつゆでる
一度にたくさんの豚肉を入れると湯の温度が一気に下がり、豚肉同士がくっついて固まってしまいます。
■ 温度が下がってきたら、再度湯を沸かす
湯の温度が下がって豚肉に火が通りにくくなったら、再沸騰させて火を止め、同様に繰り返します。途中、アクが出たら取り除いてくださいね。
■ まとめてゆでるなら、1人分ずつ
時短したい時は、1人分(7枚くらい)の量なら一度にゆでても大丈夫。ただし、お肉を重ねて鍋に入れるのはNGです。一枚ずつ広げて入れていきましょう。
ゆでた豚肉をざるの上にのせて湯を切り、そのまま冷まして完成。
おいしく食べるための冷し方
冷しゃぶをおいしくいただくには、実は冷やし方にもコツがあります。お肉のやわらかさを保つ冷し方で、旨みを閉じ込めましょう。
■ 冷水はNG
冷水で冷やすと水っぽい仕上がりになり、うま味も逃げてしまいます。ゆでたらざるに上げてしっかりと湯を切り、そのまま冷ましましょう。
余裕があればうちわなどで冷ましても。冷しゃぶにするときは、食べる直前に10分ほど冷蔵庫で冷やしていただきます。
■ 食べる直前に冷蔵庫で冷やす
冷しゃぶにするときは、食べる直前に10分ほど冷蔵庫で冷やしていただきます。
冷しゃぶをそのまま冷蔵庫に入れると脂分が固まってしまいます。そこで一役買ってくれるのが、オリーブオイル。植物性の脂はサラサラなので凝固しにくく、豚肉のパサつきを抑えてくれます。
豚肉全体に行き渡るくらいにかけたら、チャックシール付ビニール袋や保存容器に入れて冷蔵庫へ。翌日のサラダやサンドイッチの具など、アイデア次第で様々な料理に使えますよ。
冷しゃぶをそのまま冷蔵庫に入れると脂分が固まってしまいます。そこで一役買ってくれるのが、オリーブオイル。植物性の脂はサラサラなので凝固しにくく、豚肉のパサつきを抑えてくれます。
豚肉全体に行き渡るくらいにかけたら、チャックシール付ビニール袋や保存容器に入れて冷蔵庫へ。翌日のサラダやサンドイッチの具など、アイデア次第で様々な料理に使えますよ。
冷しゃぶサラダといえば夏のメニューと思われがちですが、紹介してもらったのは、白菜などの冬野菜を使った冬のサラダ。豚しゃぶ鍋とはまた違った、冬野菜の美味しさが発見できます。今回は、ゆで汁をスープにアレンジして、豚肉の旨みを余すところなくいただきます。
Recipe
しっとりやわらかくゆでた豚しゃぶを、野菜と一緒にサラダにして味わうレシピ。塩でうま味を引き出した白菜と春菊と絡めて、しょうがの香り高い熱々のごま油を全体にかけたら、野菜たっぷりのメイン料理のできあがりです。
\ 「豚しゃぶの冬サラダ」の 調理のポイント /
「冬の鍋料理に欠かせない白菜と春菊ですが、旬の時期は水分をたっぷり蓄えてやわらかいので、生のままサラダにしてもおいしくいただけます。鍋に飽きたらぜひ試してみてくださいね」
▼ 「豚しゃぶの冬サラダ」の材料(2~3人分)
- しゃぶしゃぶ用豚肉…220g
- 白菜…1/8玉
- 春菊…1/2束
- 塩…小さじ1
- しょうが(みじん切り)…1片
- ごま油…大さじ3
- ポン酢…大さじ2
- すりごま…適量
- ※お好みで七味やブラックペッパーなど
▼ 「豚しゃぶの冬サラダ」の作り方
- 1. 白菜の葉の部分は手でちぎり、芯の部分は斜めせん切りに。春菊は葉の部分は手でちぎり、茎は斜め細切りにする。
- 2. 1をボウルに入れ、全体に塩をまぶして5分~10分置く。野菜から水分が出たら、手で絞って水気を切る。
- 3. 「4つのコツ」を参考に豚肉をゆで、2と合わせる
- 4. 小鍋にごま油としょうがを入れて弱火にかけ、しょうがの香りが立ってきたら火を止めて、3に回しかける。ポン酢、すりごまを加えて全体をよく和える。
- 5. 完成!お皿に取り分けて、お好みで七味やブラックペッパーをかけて召しあがれ。
■ 塩で野菜のうま味を引き出す
野菜に塩をまんべんなくまぶして、うま味を引き出します。野菜から出た水分は手で絞りましょう。
■ しょうがは火にかける前に入れる
ごま油が温まった状態でしょうがを入れると焦げてしまうので、火にかける前に入れます。
冷しゃぶサラダをもっと楽しむなら、ドレッシングを変えるのがおすすめ。さっぱりした和風、コクのある塩だれ、爽やかなレモン風味など、アレンジ次第でバリエーションが広がります。
手づくり玉ねぎドレッシングレシピ
いいお肉を手に入れたのに、焼いてみると固くてガッカリ。そんな失敗を防ぐコツについて「焼く前が肝心」と宮崎さん。下ごしらえと焼き方の工夫で、いつものフライパンで柔らかなミディアムステーキが作れちゃいます。
Recipe
豚肉のゆで汁にはうま味がたっぷり。せっかくならスープを作って最後までおいしくいただきましょう。
▼ 「豚のおだしたっぷりスープ」の材料(2~3人分)
- 豚しゃぶ肉のゆで汁…2〜3カップ
- 塩…小さじ2
- こしょう…適量
- 粉チーズ…大さじ1程度
- カレーパウダー…適量
- パセリやネギなどの青味…適宜
▼ 「豚のおだしたっぷりスープ」の作り方
- 1. ゆで汁を温めてアクを取り、塩こしょうで味を整える。
- 2. カップに1を注ぎ、カレーパウダー、粉チーズの順に入れてよく混ぜ、パセリ(またはネギ)を加えて完成。
\ 「豚のおだしたっぷりスープ」の調理のポイント /
「味見をしながら、粉チーズやカレーパウダーの量は自分好みに調節を。ゆで汁はみそ汁や煮物に使ってもうま味が増しておすすめですよ」
Recipe
多めに豚肉をゆでたら、オリーブオイルを絡めて冷蔵庫へ。翌日は、豚しゃぶをパンに挟んでサンドイッチにしてはいかがでしょう。粒マスタードの辛味と酸味、ハチミツのまろやかな甘みが絶妙に絡み合ったハニーマスタードソースが絶品です。
▼ 「豚しゃぶのハニーマスタードサンドイッチ」の材料(1人分)
- 豚しゃぶのオリーブオイル漬け…50g
- 玉ねぎ…1/4個
- 塩…ひとつまみ
- ロールパン…2個
- バター…適量
- (a)
- マヨネーズ…大さじ1.5
- マスタード…大さじ1/2
- はちみつ…大さじ1/2
- しょうゆ…大さじ1/2
- レモン汁…大さじ1/2
▼ 「豚しゃぶのハニーマスタードサンドイッチ」の作り方
- 1. 玉ねぎは粗みじん切りにし、塩を加えて手で軽く揉む。
- 2. 豚しゃぶは、オリーブオイルを軽く切ってザク切りにする。
- 3. 1と2を(a)で和えて、レタスと一緒にバターを塗ったロールパンに挟む。
\ 「豚しゃぶのハニーマスタードサンドイッチ」の調理のポイント /
茹でたばかりの冷しゃぶなら、オイルなしでOKですよ。
今まで自分で冷しゃぶを作っていた工程を思い返すと、「ごめんなさい!」と猛反省。急速過熱に冷水と、やってはいけないことをしていたので、おいしくできるはずがない…。しかも、オリーブオイルを絡めれば冷蔵保存できるなんて目からウロコでした。次からは自信を持って作れます!
(SATETO編集部 佐藤)